育英資金貸与事業
JFUNUニュースレター2008年11月号より
外国人留学生の支援を目指して
近年、日本で学ぶ外国人留学生の数が増加しています。そして専門的な知識や技術を修得した彼らが、
母国に戻って活躍したり、日本国内の企業に就職し、わが国の経済活性化に貢献することが期待されています。こうした留学生、特に開発途上国出身の留学生を経済的に支援しようと国連大学(UNU)本部が行っているのが、「私費留学生育英資金貸与事業(UNU Financial Assistance Programme for Students from Developing Countries Studying in Japan. 以下「UNUFAP」)」です。この事業について、UNU 留学生支援プログラムオフィサーの大西好宣さんに聞きました。
―UNUがこの事業を行っている目的とは何でしょうか。
大西「日本では1983年に、『留学生受入れ10万人計画』という構想を、当時の中曽根首相が提唱しました。
欧米に比較して外国人留学生の数が少なかった当時の日本において、もっと多くの留学生を諸外国から受け入れ、日本の国際化を進めるとともに、開発途上国の人材育成にも貢献しようというのが目的でした。この計画の進捗は遅々としていましたが、目標達成に意欲を示した小渕元首相が、留学生に対する奨学制度の拡充政策を進めました。UNUFAPもこの政策の一環として誕生したもので、日本政府(外務省)と独立行政法人国際協力機構による資金協力をもとに、国連大学が日本国内の大学を通じて、外国人留学生を経済的に支援するというシステムが2003年にスタートしました。『10万人計画』もこの年にようやく達成され、現在では新たに『30 万人計画』などが目標としていわれています。
開発途上国からの私費留学生にとって、物価の高い日本での生活には厳しいものがあります。この事業は、そうした留学生の入学や進級にかかる経済的負担を少しでも軽減し、可能な限り勉強に専念できる環境を整え、将来母国の発展のために活躍してもらおうというのが目的です。」
―貸与事業の具体的な内容、他の奨学制度との違いについて教えてください。
大西「貸与対象となる留学生は、原則として「開発途上国」の学生になります。「開発途上国の学生」とは、具体的には経済開発協力機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が定めた
「援助対象国・地域リストパート1」に属する国または地域の国籍を有する学生です。
貸与金額は、10万円以上から1万円単位で留学生が自ら借りる金額を決定でき、無利息です。またこの制度は、「在学中に返還する」のが特徴で、そのため制度を利用するタイミングによって、貸与金額の上限が決められています。授業料や寮費、引越し費用、海外研修やゼミ合宿の参加費など、大きな金額の支払いについて、この制度を利用することで負担を和らげ、月1万円ずつ無理なく返していく。それにより、安心して学業に励むことができると思います。」
―実際に利用した留学生の反応はいかがですか。
大西「外国人留学生に対する奨学事業としては、独立行政法人日本学生支援機構が行っている奨学事業や各種の民間奨学金がありますが、応募条件として所属大学での前年度の成績状況を問われることが多くなっています。UNUFAP では、入学前(予定)の留学生であっても所属大学を通じて申し込むことが可能です。考えてみると、留学生にとってまず資金が必要になるのは、大学入学直後です。入学金や授業料の納入を終えてからも、家賃を支払ったり、生活用品を揃えたり、教科書を購入したりしなければなりません。この貸与制度は、アルバイトもできないこの時期に、当座必要な資金を得る手立てとなっており、利用した留学生からも感謝の声が多く寄せられています。日本での生活に不慣れで、まだ知り合いもいない留学生が、お金に困ってサラ金から借金して返せなくなるという深刻なケースもしばしば発生していますので、そのようなことにならないよう積極的に活用してもらいたいと思います。」
―自分の在籍する大学が「協力大学」であることが必要ですね。
大西:「UNUFAPによる資金貸与は、UNUと契約を締結した「協力大学」に在籍する(入学予定者も申込み可能)留学生(短大生・学部生・大学院生)に対して行われます。各協力大学は契約締結後、受給学生の募集や事前選考、学生からの資金返還の受付およびモニタリングなど、事務的な作業を伴うことになりますが、貸与資金はすべて日本政府、国際協力機構から支弁され、大学が自ら資金を用意する必要はありません。在籍する留学生へのメリットは大きいし、大学の担当者の方には、このプログラムは留学生に対する経済的支援であると同時に、将来母国を担う人材の育成に寄与する「国際協力」のひとつであるという、大きな視点で参加いただければと考えています。」
UNUFAPの育英資金貸与事業の概要
(詳細はウェブサイトhttps://www.fap.hq.unu.edu/ で確認 してください)
応募資格協力大学の在籍者または入学予定者/「留学」の在留資格を持つ者/開発援助委員会(DAC)が定めた「援助対象国・地域リストパート1」に属する国または地域の国籍を有する者。等
貸与金額10万円以上1万円単位で希望の貸与金額(借りる金額)を決定できる。ただし、貸与資金を受け取る月から、在籍する短期大学・大学・大学院課程の修了する月までの期間に応じ て、貸与される金額の上限が決まっている。
応募書類所属大学で配布する「国際連合大学私費留学生育英資金貸与申請書」を提出。申請書はUNUのウェブサイトからダウンロードできる。
選考協力大学の選考委員会が、1)資金の必要性2)責任感3)学業成績4)健康状況5)返還能力等を考慮して行う。
学生のその他のメリット計画通りに返還し、優秀な成績を修めた学生は、選考によって表彰を受け、賞金を貰えるチャンスがある。/計画通りに返還している学生は、「エッセイコンテスト」への応募資格が得られる。/国連大学留学生支援プログラムのインターンシップに応募が可能。/国連大学から 年に2度発行される、学生生活や就職に役立つニュースレター「FAP Outreach」を講読できる。/国連大学グローバルセミナーなど、国連大学のイベントや活動情報が得られる。
協力大学について現在国内34大学が協力大学となっており、その中でこれまで延べ700 名を超える外国人留学生がUNUFAPを利用している。






